「周りの人を大切にしながら、自分の生きたいように生きる力を育む」ことを大切にしたフリースクールを運営しているNPO法人があるんだ。
今回は、NPO法人無花果が運営している「フリースクールもえぎ」にお邪魔して、理事長の中藤さんと、通っている生徒の方にお話を聞かせてもらったよ!
のっぷ:はじめまして。つながる協働ひろばののっぷです!
「フリースクールもえぎ」の玄関の前に立つと、子どもたちのすごく楽しそうな声が聞こえてきました。ここはどんな場所なんですか?
中藤さん:いろいろな理由で学校に行っていない小学生から高校生の居場所です。子どもの感情を大切にし、したいことを一緒にゆっくりと見つけ、実現させていくフリースクールです。今は、20人くらいの子どもたちがここに通っています。この場所から少し北にある無花果高等学園と合わせると、約40人の子どもたちが出入りしています。
スタッフ6人とボランティアスタッフで子どもたちに関わっています。子どもたち同士も、異学年でお互いに関わり合いながら、自分の「やりたい」ことに自由に取り組んでいます。
普段のフリースクールの様子
のっぷ:ゲームをしている子もいれば、音楽について説明している子と質問しながらその話を詳しく聞いている子、絵を描いている子など、いろいろな年齢の子どもたちが、自由に過ごしていますね。20代のスタッフの方と、学生ボランティアスタッフの方もいて、声をかけたり、一人ひとりとしっかり話をしたりしているようですが、大切にしていること、心がけていることなどありますか?
中藤さん:フリースクールもえぎでは、1日の中で決まったカリキュラムは特に用意しておらず、それぞれが自分のやりたいことをしています。ゲームをしている子は、一見遊んでいるように見えるかもしれません。しかし、私たちは自分の気持ちに沿って行動することをとても大切にしています。
教育の本質は、生きたいように生きる力を育むことだと言われています。周囲の人のことを大切に受容しながら、自分の欲求に気づき、行動することはとても大切なことだと考えています。通い始めた当初は、自分が何をしたいのかよくわからない子もいます。ゲームをしたりお話をしたり、夏祭りを企画するなど、いろいろなことをする中で、自分の気持ちを表現したり、欲求に沿った行動ができるようになっていきます。勉強したいという気持ちが出てきた子と一緒に、本を買いに行くこともありますね。
アプローチの方法が授業なのか、いろいろな体験なのかという違いだけで、本質的には公教育と同じように「周りの人を大切にしながら、自分の生きたいように生きる力を育む」ことを大切にして、「○○したい」という欲求が子ども一人ひとりから出てくるように日々子どもたちと関わっています。
のっぷ:子どもが日々感じる思いを大切にしているんですね。
次に、フリースクールもえぎに約1年通っている中学生のKさんにお話を聞いてみます。
ここに通ったことで、自分の中で何か変わったなあと思うことはありますか?
Kさん:朝決まった時間に起きることができなくなっていたのですが、フリースクールもえぎは必ずこの時間に来ないといけないということはなくて、そういう縛りがないことで気持ちが軽くなりました。
少しずつ起きる時間も早くなっていき、生活リズムも整うようになってきました。自分の好きな服を着て、自分のやりたいことをする。フットサルに誘われて、行く時もあればなんとなく行かない時もあります。
のっぷ:自分の気持ちに気づくこと、そしてその気持ちに沿って行動することって大事ですね!
これからはどんなことをしていきたいですか?
Kさん:中学校を卒業したら、無花果高等学園に通いたいです。そこでいろいろなことをしながら、ゆっくり自分のやりたいことを見つけていけたらいいなと思っています。
「みんなでつくる!奉還町夏まつり」の様子
のっぷ:最近は県外からの視察や講演依頼、中藤さんが同じく代表を務めている無花果株式会社では小田急電鉄との協働事業の開始など、活動の幅も広がっていますよね。ここまで取り組まれている中藤さんの活動の原点を教えてください。
中藤さん:高校生の時、祖父の会社が廃業したことで家庭環境が変わってしまいました。周囲から嫌がらせにも遭いました。そうして学校にも行かなくなりました。不登校ではあったのですが、塾の先生は自分にしっかり寄り添ってくれて、当時の自分の支えになってくれました。
大学進学後は、「親業」と出会い家族とのコミュニケーションについて学んだり、不登校ママの会などで自身の経験を話したり子どもたちと関わるようになりました。そうした中でフリースクールが必要というような声が聞こえてきたことで、無花果の設立を決めました。起業家の集まりにも参加していたので、助言やサポートを得ながら、一緒にやりたいと思った方々とともに事業を展開しています。
のっぷ:ご自身の経験を糧に、学んだり、さまざまな人たちとのつながりの中で“無花果”が誕生したんですね。
のっぷ:既にたくさんの取組をされていますが、今後はどんなことに力を入れていきたいですか?
中藤さん:特に力を入れていきたいのは、マンスリーサポーターさんの募集です。フリースクールもえぎは現在、利用料をいただくことで運営をしています。しかし、お金が理由で、特に義務教育の年代が教育を受けられないのは良い状況だとは思いません。利用しやすい環境を整え、必要な人に届けていくために、マンスリーサポーターさんの募集を進めていっているところです。
寄付を募っていくためには、私たちの取組がどのようなものであるか、きちんと伝えていくことも大切だと考えています。「子どもたちが、「今」「これから」本当にやりたいことを見つけて、周りの人を大切にしながら自分が生きたいように生きていける。」そのような“よい教育”を本当に行えているのか、科学的に検証もしながら、無花果での取り組みの価値をしっかりと届けていきたいです。
NPO法人無花果 理事長 中藤寛人さん
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住所:〒700-0024 岡山県岡山市北区駅元町25-14
電話番号:070-8446-7663
Eメール:info@1zk.or.jp
ありがとうございました。
子どもたちの生きる力を育むつながりをつくろうとしているんだね。
多くの人に繋がるといいな。
次はどちらの法人におじゃましようかなぁ。