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いきいき社会貢献 その34|地域からの恩を地域に返す【成広薬局】

[2025年11月5日]

ID:76381

「いきいき社会貢献」では、のっぷとティアが社会貢献活動に取り組む岡山の企業を取材します。
第34回は、成広薬局におじゃましてお話を伺いました。

なお、内容は取材当時のものです。

第一次世界大戦中の大正6(1917)年、岡山市北区御津地域で創業し、100年以上「地元の薬屋さん」として住民の健康を支え続けてきました。薬局としての仕事はもちろん、その枠を越えて「地域からもらった恩を地域に返していきたい」と地域活性化に力を注いでいます。

成広薬局代表取締役の成広和朗さんに話を聞きました。

成広薬局代表取締役の成広和朗さんの写真

地元の薬屋さん

成広薬局は御津地域を中心に薬局5店のほか、デイサービスと居宅介護支援事業所をそれぞれ1カ所運営し、地域に根差した企業として住民の健康を支えています。そうした企業活動の一方で、児童や生徒を対象に薬の正しい使い方についての講座を開いています。


成広社長「子どもたちが薬の正しい使い方を学ぶことは授業でもあるので教員が教えても良いのですが、学校薬剤師としてつながりもあるので講座の実施を引き受けました。特に中学生には薬物乱用についての話もしています。最近では、一般用の医薬品を過剰摂取する、いわゆる「オーバードーズ」について、心身にどんな影響が出るのか、過剰摂取の恐ろしさなどについても説明、指導しています。
学校以外では、町内会で出前講座もしています。薬の話ばかりでもいけないので、熱中症予防や、かかりつけ医とかかりつけの薬局をつくっておくと何かと相談に乗ってもらいやすい-など役に立つ話も織り込んでいます。」

成広薬局の店舗の前で写真
薬を選別する様子

薬局の枠を越え、地域活性化に尽力

成広薬局は、日常業務の傍ら地域を盛り上げる活動にも尽力しています。

岡山北商工会の事業で、商工会加盟店のスタッフが講師となって専門的な知識や情報を受講者に伝える少人数制の「まちゼミ」に参加しているほか、花火の打ち上げを復活させるために「御津地域まちづくり推進の会」を立ち上げるなど、会社を支えてくれる御津地域の活性化につながる多彩な取り組みを繰り広げています。

成広社長「「まちゼミ」には初回から参加しており、現在は「岡山市北まちゼミの会」の代表を務めています。「まちゼミ」には約20店が参加していますが、店やそこで働く人を住民に知ってもらい、店のファンになってもらうのが取り組みのコンセプトです。
成広薬局の講座では薬について学んでもらうだけでなく、さまざまな体験を盛り込んでいます。生薬などを使ったクラフトコーラや人工のイクラをつくる実験のほか、店の近くを流れる川で魚釣りをしたこともあります。受講した人が驚きや楽しさを感じてもらえる講座を通して「成広薬局はこんなお店なんだ」と店のファンを増やしていきたいと考えています。」

ファンを増やして店を元気に、そして地域全体の活性化へ

成広社長「御津地域は中心市街地のように商店が軒を連ねているわけではないので、「まちゼミ」に参加する店舗同士が距離的に離れているケースが多く、受講生も店を巡るのが大変です。このため、商店街のように各店舗が1カ所に集まる「まちゼミフェア」のようなイベントを考えているところです。

「まちゼミ」に参加する店には、地元で楽しく商売を続けてもらいたいですね。店が元気になれば地域も元気になり、最終的にはまち全体の活性化につながると考えています。」
コーラの材料をもっている成広社長
鍋からコーラを漉している写真
クラフトコーラづくりの説明を聞いている写真

「まちゼミ」クラフトコーラ作りの様子

地元の花火打ち上げ復活へ「御津地域まちづくり推進の会」発足

令和5年には岡山北商工会青年部のメンバーら約10人で「御津地域まちづくり推進の会」を設立しました。

成広社長「岡山北商工会が主催する「夏祭りinみつ」では毎年花火を打ち上げていましたが、新型コロナウイルス感染拡大を機に取り止めました。ずっと見てきた花火がないことに寂しさを感じていましたし、私たちが子どもの頃は当たり前に見ていた花火を今の子どもたちにも見せてあげたいという思いから令和5年に「御津地域まちづくり推進の会」を立ち上げました。その年の11月、4年ぶりに花火を打ち上げました。」

若い力を引き込み、長く続くイベントに

成広社長「まずは花火の復活に賛同していただき、協力してくれた皆さんに感謝したいですね。来店した住民からも「ありがとう」「今年もやるの?」など声をかけてもらえることもありますし、楽しみに待ってくれている人がいるのはうれしいことです。また、この取り組みは、岡山御津高校や朝日塾中等教育学校、御津中学校の生徒にも協力してもらって一緒に企画、運営をしています。大人だけではなく若い世代にも関わってもらうことで、生徒たちが運営で得た経験を今後に生かすことができたら良いなと思いますし、自分たちが関わったイベントが長く続いていく喜びを感じてほしいですね。大人になってからもまた手伝いたいと思ってもらえるとうれしいです。実際に卒業してからも手伝いに来てくれている若者もいます。」

花火を見に来た人の写真

4年ぶりに復活した花火の打ち上げの様子

花火の写真

地元の誇れる場所を 地元から発信

成広薬局は令和6年から御津地域の魅力を発信する「みつ町の誇り向上委員会」のメンバーに加わり、活動を始めています。

成広社長「御津地域に住んでいない人から「御津にはこんなに良い所がいっぱいある」と言われることがあります。外部の人に言われて〝地元の誇り〟に気付かされたと感じる時があります。そんな外部の「目」を地元の人が認識し、誇りに思い、守っていく必要があると感じています。」

「今昔マップ」でまち歩きをより楽しく

成広社長「御津地域には、明治最初の外交問題「神戸事件」を解決し、明治政府を救った瀧善三郎(※)や臥龍山に築かれていた金川城跡など歴史的な遺産があります。自然も豊かです。御津を訪れた人たちがまちを楽しく散策できればと思い「今昔マップ」を作っています。マップが完成すれば次にやることを考えないといけませんよね。散策中に休憩できる場所を設けるとか、空き家を活用した民泊に取り組むことで空き家対策につなげていくとか。「みつ町の誇り向上委員会」だけではなく、他の団体にも協力をお願いしながら活動の幅を広げていきたいと思っています。」

(※)幕末の備前岡山藩の武士で、地元・金川出身

販売している釣り具の前で

子どもの頃から通っていた近所の釣具屋さんが閉店すると聞き、薬局の一角で後を引き継ぎ、釣り具の販売もしているそうです

御津地域で古里の活性化にも励む成広薬局。今後の展望を聞きました。

成広社長「私たちの仕事は地元の人に支えてもらっている職業です。この地で生活が営めているのは先代、先々代の時代から成広薬局に来てくれている地元の人の存在があります。そんな恩を少しでも地域に返していかなければならない思いがあります。会社として御津地域が元気になるような取り組みを考え、活動を続けていきます。」

株式会社 成広薬局

成広薬局の写真