
「若紫」 |
それぞれの描写を見ていくと、まず人物は的確かつ伸びやかな描線で比較的大ぶりに描かれている。さらに胡粉の盛上げによる金雲の処理や衣服の文様、樹木や水波の技法など、無落款ながら相当な力量を持った絵師の手になることを感じさせる。特に画中画として場面の随所に見られる水墨山水画は、画家の正統性を予想させるに十分なように思われる。
いずれにしても、江戸時代前期に描かれた源氏絵屏風の優品と言えるだろう。
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参考文献 『源氏絵』(日本の美術119) 至文堂 |
(前田 興) |
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このページの解説は「岡山県文化財総合調査報告」(1990.3 岡山県文化財保護協会)から転載しました。 |
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